ザクセン=アンハルト州の森に橋を架ける
欧州コマツでスマートコンストラクションの責任者を務めるリチャード・クレメントは、ドイツのコルビッツ郊外で野生動物用横断路の「美しく魅力的な」デザインを初めて見たとき、そのプロジェクトの規模と目的に衝撃を受けました。
「当時は、道路の上に緑地帯をつくるためだけに、わざわざ美しいツインアーチ型の橋を建設するなんて非常に贅沢だと感じました」と、クレメントは振り返りました。しかし、時間が経つにつれ、彼は考えを変えざるを得ませんでした。
クレメントとコマツのチームは、アウトバーン (高速道路) 14号線の新設区間で切土/盛土と呼ばれる工程を担当しました。2つのアニマルブリッジのうちの一つは野生動物の横断路としてつくられたツインアーチ状の美しい形をしていました。もう一つは、コウモリが使っている自然界に存在する目印を途切れさせず、道路を安全に渡れるように設計された簡素な構造のものです。
新しいアウトバーンは、コルビッツとクレヘルンの間の森林地帯と原野を一直線に延びていきます。この地域はドイツで未開発の土地が最も残っている地域で、高速道路のない最大のエリアでもあると言われていました。ツインアーチ状のアニマルブリッジは、森林地帯を二分する区間に建設されることになりました。
「建設段階では、野生動物を作業現場へ近づけないようにしなければなりませんでした。」と、クレメントは言います。「道路の建設は、この森林地帯を移動する野生動物にとって巨大な障害物となってしまいます。」